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映画公開記念
映画「平場の月」が描く“朝霞”の風景
朝霞 | 埼玉 |2025年11月11日

朝霞市にお住まいだった原作者・朝倉かすみさんが、朝霞市を舞台に描いた小説「平場の月」がいよいよ映画公開となります。
撮影にあたっては朝霞市を中心に志木市などでもロケが行われました。今回はこの作品の魅力を、実際のロケ地や、作品のモデルとなったお店とともにご紹介。さらに朝倉さんのインタビューコメントもご紹介します。
『平場の月』 11月14日(金)より全国東宝系にて公開中©2025映画「平場の月」製作委員会
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ロケ地紹介|精興社朝霞工場
堺雅人さん演じる主人公・青砥健将の勤め先として登場!制作報告会見でも、堺さんがここでの撮影の思い出をたくさん語っておられました。「絵本ぐりとぐら」など、出版書籍・一般商業物の印刷を行っており、1913年創業の112年の歴史あり。オリジナル書体の作成や印刷品質と色の再現など、拘りが光る印刷会社です。
<ロケ中のエピソード&応援コメント>
当社がロケ地になると知った時、昔ながらの印刷工場のため、撮影場所として大丈夫なのか少し心配になりました。演者の方々に技術指導を行った際には、数時間の練習でベテラン印刷工の雰囲気を出す演技が素晴らしかったです。特に「紙積み作業」という難しい工程を、主演の堺さんが印刷用紙を持ち帰って練習される熱心さで、プロ魂を感じました。撮影には当社の社員がエキストラとして数名参加しているので、そこも楽しみです。 芹澤真さん(取締役工場長)
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主人公が主に作業をしていた場所。ここで印刷の仕上がりの色味をチェックします。 -
撮影時には、表札が主人公の勤務先の名前に付け替えられたそう。映画に映るかどうか要チェックです。
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ロケ地紹介|アサカベーカリー 朝霞台店
ロケ地として使用された他、商品が差し入れとしても現場で大人気だったそう。(芹澤さん談)お客が途切れない老舗のパン屋さんで、ショーケースいっぱいにならぶ惣菜パン、調理パンの他、「上食パン」「特上食パン」「特特上食パン」も売り切れ必至です。
アサカベーカリー 朝霞台店
朝霞市西弁財1-7-35/048-466-4909/6:00~18:00/月火定休
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作品のモデル店紹介|やきとり にしだ家 朝霞台店
こちらは今回のロケ地ではありませんが、作品の中に出てくる焼鳥屋のモデルとなったお店です。炭火串焼きと煮込みが人気の大衆酒場で、お持ち帰りやUberEATSにも対応。
<応援コメント>
当店が作品内でモデルとなって登場していると知った時、とても驚きましたが嬉しかったです。映画がたくさんの方に観ていただけるよう応援しています! 小池萌さん(マネージャー)
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朝霞市からの応援コメント
朝霞市では、小説が発行された時から『平場の月』を応援しています。朝霞市 松下市長をはじめ、以下の方から応援コメントをいただきました。
「市内のいろいろな場所がこんなにもスクリーンに映し出されることに感動を覚えました。普段見慣れた場所が少し特別に感じて、皆さんにとってもきっと忘れられない映画の一つになるものと思います。」
―朝霞市 松下市長
「朝霞市内では10か所以上の場所でロケが行われ、朝霞の素敵な一面が映画を通じて多くの皆さんに知っていただけるものと思います。公開がとても楽しみです。」
―シティ・プロモーション課
「朝霞市が舞台の『平場の月』が映画化されると聞いたときは、とても嬉しく誇らしい気持ちでした。小説の中に描かれた朝霞の街並みや人の温かさが、映像を通してもっと多くの方に伝わるのではと楽しみにしています。」
―図書館司書・畑中智美さん
朝霞市シティ・プロモーション課のインスタグラム
朝霞市シティ・プロモーション課のインスタグラム小説『平場の月』の舞台となった場所を示したマップを公開中!(朝霞市立図書館作成)
小説『平場の月』の舞台となった場所を示したマップを公開中!(朝霞市立図書館作成)原作者・朝倉かすみさんインタビュー
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―作品が初めて映像化されると決まったとき、どのように感じられましたか。 「えっ、本当に?」という驚きと、「あんなに地味な小説が映画になるのかなあ」という不安と、「わーい」という単純な嬉しさが入り混じりました。 ―映像をご覧になって、原作とは違う魅力を感じた部分を教えてください。 青砥と須藤の中学時代の思い出が厚く描かれていたところと、夜空に浮かぶ月のかたちの移り変わりの映像が、とってもよかったです。
―執筆中に改めて気づいた朝霞の魅力を教えてください。
ほんの4、5年しか暮らしていませんでしたし、住んでいた地域しか知らないのですが、生活するなかで感じていた「ちょうどよさ」みたいなもの(「便利さ」とか「治安」とか「物価」とか「きれいさ」とか「親切な人の割合」なんかの五角形のグラフが整っているイメージ)が浮き上がってきたように思います。
―朝霞市に思い入れのある場所があれば教えてください。
南割公園です。遊具の可愛さはもちろんですが、駅の近くなのに森のようなムードがあって、好きな場所でした。あと、高架下の野菜の直売。安くて新鮮!たいへん助かりました。
―朝霞の読者にメッセージをいただけますか。
お久しぶりです!朝霞在住中はお世話になりました。朝霞を舞台にした小説『平場の月』が映画になりました。あの堺雅人さんや井川遥さんが、わたしたちのよく知っている風景の中で、わたしたちと同じように、日々を営んでいます。ぜひご覧ください。そして小説もぜひ読んでみてください。
朝倉かすみ
1960年北海道生まれ。2003年「コマドリさんのこと」で第37回北海道新聞文学賞を、2004年「肝、焼ける」で第72回小説現代新人賞を受賞し、作家デビュー。09年『田村はまだか』で吉川英治文学新人賞を、19年『平場の月』で山本周五郎賞を受賞。他の著書に『にぎやかな落日』、『よむよむかたる』、『棺桶も花もいらない』など多数。
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