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いつもの日常が「もしも」でも役立つ

いつもの日常を「もしも」に役立てる「フェーズフリー」という取り組みをご存知ですか?
身近な日用品が災害時に便利な道具になったり、いつもの食料品を少し多めにストックすることで非常食になったり。使い慣れた物だから災害時にも慌てず使えて、いつも新しいから賞味期限の心配もなし。
埼玉県防災学習センターや、埼玉県が推進する『イツモ防災』の取り組みと合わせて、すぐに実践できるヒントをお届けします。

備えない防災「フェーズフリー」

埼玉 埼玉 |2025年09月02日

備えない防災「フェーズフリー」

  • 撮影協力:株式会社三和製作所(バケツにもなる撥水バッグ 3,278円)
     

いつも使えてもしもに役立つ物を無理なく備えておこう

フェーズフリーとは、いつも使っているモノやサービスを、もしもの時にも役立てること。日常時だけ、非常時だけにしか使えないモノやサービスを、両方のフェーズで便利に活用するという考えです。そしてそれは、自分の生活に合わせて無理なく備えていくことが大切。例えば、私はキャンプが好きで、普段からキャンプ道具を日常使いしており、フェーズフリーを意識なく実行していたようです。毎日使うバックの中にも、折りたたみ式のスプーン・フォーク、手ぬぐい、薬、飴、ポンチョ、買い物袋等が入っています。また寒い時期は薪ストーブで暖を取っていて、東日本大震災での停電の時は、炎の明かりと温かさと調理もできて、いつも使っているものがもしもの時に役立ちました。

 

埼玉県がすすめる「イツモ防災」をワークショップで分かりやすく

埼玉県がすすめている「イツモ防災」は、防災対策を「特別なこと(モシモ)」ではなく「日常的なこと(イツモ)」として生活の中でとらえるという、まさにフェーズフリーの取り組みです。埼玉県防災学習センターでは「イツモ防災ワークショップ」というイベントを開催し、水・食料の備蓄品を普段から定期的に使い、使った分を買い足していくローリングストック法や、家具転倒防止法の普及・啓発を分かりやすく伝えています。そのほか地震や暴風、火災などの災害時の対処法を身をもって体験する学習を始め、防災・減災に関する各種イベントの開催に力を入れています。ぜひ皆さんで学びにお越しください。

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    「いつも」と「もしも」を、スマートに持ち歩く

    当たり前のモノが災害時に役立ちます。スマートフォンは情報収集や連絡手段、懐中電灯に。大判のスカーフは応急手当の包帯代わりに。モバイルバッテリー、水筒、飴、それらを入れる撥水バッグはバケツ代わりにも。

フェーズフリーで防災意識をアップデート!

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    ローリングストック、はじめてますか?

    日用品や食料品を多めに買い置きし、食べた分を買い足して補充する方法を「ローリングストック法」と言います。水、缶詰め、オートミール、レトルト食品など、食べながら入れ替えるから賞味期限の心配がなく、災害時でも普段から食べなれた食材を「非常食」とすることができて安心です。小さなお子さんがいるご家庭は、お子さんが好きなお菓子の備蓄も忘れずにどうぞ。
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    「イツモ」と「モシモ」を近づける生活を

    例えばラジオやカセットコンロ。もしもの時のために購入しても、有事の際に使い方が分からなかったり、実際に動くかどうか不安な人もいるのでは?そんな人にお勧めなのが、日常に「モシモ」を取り入れる生活です。例えば朝食の時間はラジオを聞く、たまにカセットコンロで鍋をする、そんな習慣を家族で身につけておきましょう。
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    こんな時にも使える!便利アイテム例

    特別なグッズがなくても、普段のアイテムが災害時に大活躍!家に多めに置いておくと安心です。
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    埼玉県がすすめる防災の取り組み

    埼玉県では「イツモ防災」を通じて「防災マニュアルブック」を公開。また“自分の命、安全は自分で守る”ための3つの自助の取組を行っています。
    取材協力:埼玉県危機管理防災部

  • 災害はいつ来るんだろう?

    埼玉県は海がなく、また武蔵野台地や大宮台地といった強固な地盤に囲まれているため、 一般的に地震に強い地域とされています。しかし同じ理由で大雨の影響を受けやすく、多くの河川が流れているため、増水が発生し水害に繋がりやすい地域でもあります。災害がいつどんな形で来るかは誰にも分かりませんが、梅雨前線の影響や夏のゲリラ豪雨、秋にかけての台風など、季節にあわせた備えを意識することはできそうです。定期的に国土交通省や各市町村が作成するハザードマップを確認し、自分の生活エリアで起こりうる災害について把握しておきましょう。

防災に関する各種SNS

  • ■国土交通省「ハザードマップ ポータルサイト」

  • ■埼玉県LINE 公式アカウント「埼玉県庁」の案内(防災情報発信中)

  • ■埼玉県HP「イツモ防災」

能美防災そなーえ 埼玉県防災学習センター

教えてくれたのは 能美防災そなーえ 埼玉県防災学習センター所長 根岸 学 さん

埼玉県鴻巣市袋30番地 JR高崎線 北鴻巣駅東口から徒歩約20分/048-549-2313/入館料:無料/9:00~16:30(入館は16:00迄) 月曜定休※祝日の場合は翌日に振替)/年末年始、臨時休業あり

教えてくれたのは 能美防災そなーえ 埼玉県防災学習センター所長 根岸 学 さん